甘い檻



5の23

「なあ、雅美……」
敏感な部分を撫でながら。
「なに?」
「雅美も……オナニー、するんだよな?」
「えっ……」
身をすくめて……それから少し抗議するように。
「ていうか、あー!
 もしかして、蒼太もあたしの身体使ってオナニーしたでしょ!?」
「う、うん……まあ、そうだけどさ」
「何考えてるのよ、もう!
 蒼太のこと……信じてたのに」
でも、そんなに失望した表情に見えないのは……
もう、Hしちゃったからなのか、それとも……
「我慢できなくて……ごめん」
「もう、すけべっ」
「うっ……お、お互い様だろ?」
「あたしは、すでに蹂躙されてたんだぁ」
喘ぎながら、泣きはらす仕草をする。
全然説得力無い。
「どうだった? すぐ……イけたの?」
「うん。おかげさまで……おばさんに見つかった」
「ちょっ!?」
雅美の目が点になる。
「でも、すぐイケるのって……やっぱり雅美がいつもしてるからだよね?」
「あのね。そんなにしてません。
 あー、かぁさんにはまじめな娘で通してたはずなのに」
「あはは、な訳ないじゃん」
「むー」
「ここ、こんなに触ったり触られたりして。
 こんなに可愛い声上げてるのに」
雅美の反応を見ながら、その時のことを思い起こしていると。
「ねぇ、こんな感じでしてたの?」
「うん。風呂場で……つい、指が止まらなくなって」
「そっか……んっ、んんっ……」
そうだ。こうして、雅美のことを考えながら……
「雅美もするんだろ? どんな感じでしてる?」
「どんな感じって……」
軽くかき回して、中の熱い液をかき出しながら。
「どの辺触るのかな……とか」
「うん。だいたい同じだよ。あんまり……深く指入れないし」
「こっちも触ったりする?」
「うん、するよ……もっと、ふるふるって」
僕の指を取り、細かく振動させる。
「どんなこと、考えながら?」
「こんなこと」
「えっ?」
その意味を理解できないでいると、ふてくされるような顔をして。
「だから。蒼太にこうされるところ。
 蒼太の指で……少しごつごつした指で。
 こうして、少し乱暴に、敏感な部分を……
 痛いくらいいじられるの」
要望通り、少し乱暴にしてみるのだけど、
雅美の口からは甘い声しか漏れてこない。
「ちょっと物足りない?」
「ばか。そんなわけ無いじゃない。
 蒼太……本人にしてもらってるんだもん」

でも、ちょっと違う反応を見たくて。
両手で、指を入れて……
「あ、ちょっ……蒼太、広げないで……」
「え、でも……ちんちん入れてるときの方がもっと広がってるだろ?」
「もう、空気が入っちゃうよ……」
少し外気の冷たさを感じるのだろうか、身体をすくめて。
だから、両手は勘弁して、右手の指二本を入れて、かき回すように。
「んっ、ああっ……」
「まだまだ溢れてくるね、僕の精液。
 っていうか、そろそろ……愛液になってるかな?」
「ちがうよ、蒼太の精液だって。んっ……
 だって、いっぱいいっぱい出すんだもん」
「そうかな?
 さっき雅美が腰振ってたときは、愛液もいっぱいいっぱい流れてたけど」
「嘘っ……んっ、はぁ……」
「嘘じゃないよ。っていうかさ」
「ふぅっ……んっ、何?」
「もう一回、して……いいかな?」
僕のあそこは、いつの間にか復活していた。

5の24

腰に力が入らない二人は、寝そべったまま。
僕が後ろから抱きつく形になって。
ちょっとおっぱいを眺められない体勢なのは不服だったけど。
「いいかな?」
「だめ。もっと……」
「もっと、何?」
「ぴったり、抱きしめて」
雅美の背中に、僕の胸板をぴったり合わせるように……
「うん、暖かい……ω」
「じゃ、入れるよ」
前から手を差し入れて、雅美の位置を確認しながら。
後ろから、尻の隙間から差し込むように。
「んっ、ああっ……変なところ、入れないでよ?」
「そんなことしないって」
さすがにいきなりそんなディープなことをする予定はなくて。
でも、たぶんちょっと亀頭でそんな場所をくすぐった後に、
精液で、愛液で濡れたその場所に滑り込ませる。
「ふぅ、また……つながったね」
「ああ……」
二人とも横になってるから、深くつながれないけど、
でも、少しでも奥を求めて、ぎゅっと抱きしめる。
「ねえ、蒼太……好きだよ」
「うん」
「ねぇ、キス……して」
「うん」
雅美が少し苦しそうに後ろを向き、
僕は迎えに行く格好で……覆い被さるようにキスをする。
すると、僕の身体の中に、すっぽりうずくまる格好になって。
ゆっくり腰を動かす僕の中で、
雅美はかすかなあえぎを上げる。
「ねえ、蒼太……もう、離さないでね」
「ああ……」
「ねぇ、蒼太……」
急に強烈な睡魔が襲い、
それから逃れるように雅美の唇を求める。
だけど、
「(あ……このまま、くっついたまま寝るのもいいのかな?)」
なんて失礼なことを考えたり。
でも、案外雅美もそうかもな……とか思ったりして。
「あ、雅美……また出そうだよ」
「うん」
ゆったりとした、心地よい快感がせっぱ詰まって。
もう、これで何度雅美の中にはき出したんだろう……
「気持ちいい、雅美……」
「うん」
「ずっと、こうして……たいな」
「うん……」
その射精感にどっと疲れが襲いかかって……
僕はいつしか眠りに落ちていた。

5の25

「ふぅ……ん? 蒼太?」
なんかシてる最中に寝ちゃって。
少し申し訳ない気持ちになって呼びかけ るけど……
気が付くと、蒼太も寝てしまってるよう で。
「ちぇ。なんだ……あたしだけじゃな かったんだ」
少し損した気分になって、平和そうな表 情をしている蒼太の寝顔を、
その鼻をちょっとつまむ。
「んっ、んっ……んがっ、ふがっ……」
「……くすっ」
無抵抗で、私の前で眠っている蒼太。
それを眺めるのがこんなに落ち着く事と は思っていなかった。
「だって、もう……随分経つもん」
蒼太から魔法陣を受け取ったとき。
その時からすでに彼を意識していた。
いや、それにしたってはっきり自覚する ための、
単なるきっかけだったのかも知れない。
それは、蒼太が自分のことを気にしてい るからだと思って。
ちょっと悩んで。
でも嬉しくて。
だけど、それは……勘違いで。
だから、一人その感情に……幼なじみ以 上の感情に気付いた私は、
ずっと一人でその気持ちに向き合うこと になった。
蒼太は無邪気で。
今までと同じように……幼なじみとして 接してきた分。
私は嫌でも自分の汚さと向き合わなけれ ばならなかった。
蒼太と恋人として接したい。
でも、幼なじみとして……嫌われたくは ない。
その相反する気持ちは、結局ゆりねを巻 き込んで、彼女を傷つけてしまった。
でも……
「ふふふ……おっぱい、好きなんだよ ね?」
身体の向きを変えて。
蒼太の顔を、
自分の――あまり自慢できる大きさじゃ ないけど――胸の谷間に埋める。
「かわいいな、蒼太」
その姿に少し安堵を覚えて。
こんな時間がいつまでも続きますよう に、と願って。
私もまた……眠りに落ちていった。



「あれ?」
ふと、柔らかい匂いに目を覚ます。
いや……まだ夢の中なのかもしれない。
体を覆う布団は、いつもより柔らかく、
窓から射す朝日は、どことなくピンク色を帯びていた。
というか、違和感のある室内……
もちろん見覚えはあるのだが、それが不条理だと何となく解っていた。
「えっと……どこだっけ……?」
夢うつつのせいか、頭が回らない。
天井、壁……それらは、確かに自分の記憶にある物だった。
そして。
ふと横を向くと、雅美の寝顔。
「ん? んっと……」
ふと現実に戻りそうな思考を何かが押しとどめる。
たしかに、この状況は冷静に受け止めるには少しシビアで。
それよりも何よりも。
僕はこの甘い匂いに包まれたまま、暖かなベッドで。
至福の二度寝を楽しみたいな、などとのんびり考えていたのだ。

「ん、あれ?」
窓から射す朝日に目を覚ます。
身体を包むのは心地よい疲れと、少し独 特な匂い。
なんか安心する匂い。
「あ、そっか……」
肌と肌がぴったり合ったまま、そこは暖 かな感触を与えてくれていた。
「もう。安心しきって寝てるんだか ら……」
なんとなく腹立たしいような、それでい てうれしいような。
私はそんな感慨にふけっていた。
「あったかい……」
今日は休み。
だから、この幸福をしばらく享受する権 利があるはずなんだけど。
なのに。
「雅美ぃー、まだ起きてないのー?」
「え゛っ」
母さんの声がして……足音が階下から上 がってくる。
「ちょ……ちょっ! こ、これ……っ」
私は慌てて蒼太の頭をベッドの中に押し 込んだ。
「雅美ぃー、起きなさい!」
ドアが開け放たれ、母さんが顔を出す。
「あ、あははー。おはよ、かぁさん」
「もう、休日だからって早く起きなさい よ!」
そのまま、ドアを閉める。
ほっとするのもつかの間。
「あら、雅美……なんか、布団膨らんで ない?」
ベッドの異常に気付き、またドアを開け る。
「あ、あはは……ちょっと膝立ててるだ けだよ」
「そう? それにしては盛り上がりが大 きいような」
「妊娠、なんちて♪」
「……」
どうも、滑ったみたい。

「ん、んんん!?」
頭が押された感触がして、目を覚ますと、そこは真っ暗闇だった。
「くそ、なんだよ。気持ちよく寝てたのに……」
相変わらずする甘い匂い。
いや、それはもっと強くなっていて。
「んー、ていうか、獣臭い?」
少し考えて、それが自分の欲情の跡の匂いだと気付く。
「あはは。自分の匂いだと解ると……あまりいいものじゃないな」
布団の外から声が聞こえるような気がする。
でも、はっきり聞こえなくて。
「まだ、夢の続き?」
暗闇に次第に目が慣れてきて。
布団からかすかに透ける朝日が、目の前に……
淫猥な情景を浮かび上がらせる。
「雅美……のアソコ?」
太ももがうっすらとその綺麗な造形を浮かび上がらせていて……
それでいて中心のくぼんだ場所は影になってはっきり見えないのが、
妄想をかき立てるというか、なんというか。
すると、頭が不意に押され、顔が股間に押しつけられる格好になる。
「なんかいっぱいした様な……
 でも、こんな夢見るなんて、まだ足りないのかな?」
僕は夢の中なら、とそう思って。
そこに舌を付けた。

……

「雅美。ちょっと布団をどけなさい」
「ねえ、かぁさん。もう起きるから…… いいでしょう?」
私は布団の影を小さくするために、蒼太 の身体に身を寄せた。
「ほら、別に変なことはないって」
「そう? それならいいけど……」
でも、二人分の盛り上がりは不自然で。
かぁさんは依然疑いのまなざしを向けて いる。
すると、突然。
股間にひゃっこい物が触れる。
「えっ……きゃぁっ! んんっ……」
「……雅美っ!」
不意に出てしまった嬌声に、かぁさんは 容赦なくベッドの布団をまくり上げた。
そこにある物は。
自分の娘の裸体と。
「あ、おばさん」
自分の娘の股間にしゃぶり付く裸の男を 認めて、
……そのまま卒倒した。

……

「あのね。なんで……急に人の股間舐めるかな?」
「しょうがないだろ。夢かと思ったんだし」
「なんで、あの状況で夢とか思うわけ?
 てか、夢でまでしようと思う、フツー?
 てか、あんなにしたのにまだヤり足りないか?」
「人の頭、自分の股間に押しつけるからだろ?」
「してませんー。
 そんなことするわけ無いでしょ?
 常識的に考えて」
「されたんだって」
「っていうかさ、どうしようか」
「うん、そもそも、僕は前もこういう経験があるんだけど……」
「前も?」
だから、たぶん解決策は一つしかなくて。
「言い訳はおまえに考えてもらうとして、
 今は逃げよう。ここから」
「あ、ちょっと」
服を急いで着て、外に飛び出す。

まだ、朝は早くて、少し空気の冷たさが身体にしみるけど。
あの時は一人きりだったけど……
今は横に雅美がいて。
「ちょっ……なんで抱きつくかな。
 朝っぱらから。
 往来で。
 人も見てるのに」
「いいだろ。元に戻れて……本当にうれしいんだから」
その幸せを。
雅美と一緒になれた幸せを噛みしめて。
何か忘れているような気もするんだけど。
ま、それは些細なことのような気がする。
「だからさ、どこか……遊びにでも行こうよ」
「そうだね」
僕らは、この直後に、
二人にとって最大の難関が待ち受けていることも忘れて、
手を取り合って歩き出していた。

おわり。

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